エス・エム・エスと筑波大学が共同研究を行い、コロナ禍における在宅系介護事業者への影響を調査~一部のサービス事業所では売上減少および利用者数の減少がみられるという結果に~

2020年12月17日
株式会社エス・エム・エス(代表取締役社長:後藤夏樹、東証一部、以下「当社」)は、筑波大学と共同研究を行い(研究代表者:筑波大学ヘルスサービス開発研究センター教授 田宮菜奈子)、当社が提供する介護事業者向け経営支援サービスカイポケ(以下「カイポケ」)内のレセプトデータを活用し、新型コロナウイルス感染症と、「介護事業所収入の変化」「介護保険サービス利用者数の変化」「都道府県ごとの介護サービス利用状況」について調査・分析を実施しました。2020年10月20日~22日に開催された「第79回公衆衛生学会」にて発表し、この度、高齢社会にまつわる調査・情報発信を行う当社研究機関「高齢社会ラボ」にて発表内容を公表します。
https://aging-and-well-being-labo.com/


新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、介護事業所では営業縮小や自粛、感染予防・拡大防止策の徹底、国からの支援策や臨時的な取扱いなどへの対応に迫られています。

当社では、介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」を提供しています。介護保険請求機能のほか、介護業務以外の間接業務を削減する業務支援機能、勤怠・給与・労務や会計などの経営・運営支援機能を提供し、ICT活用による介護事業者の経営・業務の効率化や働き方改革をサポートしています。

当社と筑波大学は、2018年より介護の質の向上を目的とした共同研究を進めています。この度、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が介護事業所ならびに利用者の介護の質に与える影響が深刻であると考え、カイポケのレセプトデータを用いて、新型コロナウイルス感染症による介護事業者の経営への影響・利用者のサービス利用の変化などについて、調査・分析を実施しました。



【調査概要】

・カイポケのレセプトデータを活用
・新型コロナウイルス感染症拡大期間(2019年11月~2020年4月)と、前年(2018年11月~2019年4月)のデータを分析対象とし、比較、分析



【結果と考察】

①新型コロナウイルス感染症と介護事業所収入の変化
・新型コロナウイルス感染症の感染拡大期間、特に緊急事態宣言が発令されていた2020年4月~5月に、収入が2割以上低下した通所介護事業所の割合が、前年と比較して著しく増加していた
・6月以降にこの傾向は収まり、収入が増加傾向に転じた事業所が増えていた
・通所介護事業所以外の介護事業所でも、2020年4月~5月において、収入が低下した事業所数は、前年と比べわずかに増加していたが、6月以降は前年並みに戻った
※詳細記事:https://aging-and-well-being-labo.com/academic_20201217_kaigojigyousyosyuunyuunohennka/

②新型コロナウイルス感染症と介護保険サービス利用者数の変化
・新型コロナウイルス感染症の感染拡大期間において、通所介護・通所リハビリテーションなどの通所系サービスの利用減少がみられた
・特に要介護度1~2の軽度要介護者において、減少が見られ、要介護度によって利用の変化に差が見られた
※詳細記事:https://aging-and-well-being-labo.com/academic_20201217_kaigohokennserviceriyousyasuunohennka/

③新型コロナウイルス感染症と都道府県ごとの介護サービス利用
・新型コロナウイルス感染症の流行時期およびその期間中に感染者が多かった北海道や関東、関西、北陸において、通所系サービス、特に通所リハビリテーションの利用減少が見られた
※詳細記事:https://aging-and-well-being-labo.com/academic_20201217_todouhukenngotonokaigoserviceriyou/



【高齢社会ラボ研究員コメント】

本研究は、レセプトデータを活かした速報的研究となります。通常、介護保険サービス利用に関するデータは入手に時間を要しますが、カイポケデータを活用することで、緊急事態における介護事業者や利用者の状況について、迅速な分析および結果の報告を行うことができました。今後もこの特性を活かし、法改正の影響などをいち早く分析するような取り組みにつなげていきたいと考えています。



【筑波大学ヘルスサービス開発研究センターについて】

日本初のヘルスサービスリサーチ(HSR)に特化したセンターです。HSRとは、医療を一連のサービスとして捉え、「人に健康・幸福をもたらすサービスを、必要な人に、いかに効果的に届けるか」を研究し、その質の向上を計る学問です。国レベルや地域のデータ分析等を通して、実社会とともにサービス向上を目指します。特に、予防から介護福祉を含む広いサービスとその連続性を大切にし、社会に実装することを目指しています。
(2017年7月1日開所、センター長 田宮 菜奈子)



【「カイポケ」について】

当社が提供するクラウド型の介護事業者向け経営支援サービスです。ICT活用により介護事業者の経営・業務の効率化や働き方改革をサポートします。介護業務以外の間接業務を削減する業務支援機能、勤怠・給与・労務や会計などの経営・運営支援機能を提供し、介護事業者が目指す理想の介護サービス実現を支援します。現時点で約40のサービス・機能を展開しており、会員数は、全国約29,150事業所となります。(2020年10月時点)
URL:https://ads.kaipoke.biz/



【高齢社会ラボについて】

高齢社会ラボは、高齢社会にまつわる調査・情報発信を行う研究機関です。
①主な活動
介護事業者経営実態や法改正、介護従事者のキャリアや働き方など、高齢社会にまつわる各種調査の実施や情報の発信、および介護事業者、従事者、高齢者をテーマにした研究結果や論文概要の発表
②高齢社会ラボ所長プロフィール
株式会社エス・エム・エス 介護経営支援事業部 松野雄太(まつのゆうた)
2003年大手在宅系介護事業会社入社。日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。
2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。
URL:https://aging-and-well-being-labo.com/



【報道関係のお問い合わせ】

広報担当 竹原(たけはら)
電話:03-6721-2404 mail : smsinfo@bm-sms.co.jp

リリースをPDFファイルでダウンロード